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都心億ションを普通に買う「共働き若夫婦」の実像

櫻井幸雄・住宅ジャーナリスト
 
 

 「億ション」とは、分譲価格が1億円を超える高額マンション住戸のこと。都心部を中心にマンションが増え始めた1960年代に生まれ、最初は1億円のマンションという意味で「1億ション」とも呼ばれたが、3億円、5億円の住戸が出てきたことで、億ションの呼び名が定着した。

豪華だった初期の「億ション」

 バブルが起きる前の80年代まで、「億ション」の威光は今よりずっと大きかった。たとえば、60年代は、都心の赤坂で新築マンション3LDKが3000万円程度で購入でき、郊外の建売住宅が1000万円で購入できた時代だから、1億円を超えるマンションは、腰を抜かすほど高かったからだ。

 現在価値で10億円以上のマンションが、初期の「億ション」だったと考えてよいだろう。

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住宅ジャーナリスト

1954年生まれ。年間200物件以上の物件取材を行い、首都圏だけでなく全国の住宅事情に精通する。現場取材に裏打ちされた正確な市況分析、わかりやすい解説、文章のおもしろさで定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞、日刊ゲンダイで連載コラムを持ち、週刊ダイヤモンドでも定期的に住宅記事を執筆。テレビ出演も多い。近著は「不動産の法則」(ダイヤモンド社)。