遺伝子を効率よく改変できる「ゲノム編集技術」でできた食品について、消費者庁は9月、その表示を事業者に法律で義務づけないことを決めた。これについて、多くの新聞の社説は「消費者が選択できるようにすべきだ」などとして義務化するよう主張する。だが、そもそも義務化は可能なのだろうか。
通常の品種改良と区別がつかない
ゲノム編集技術とは、動植物の狙った遺伝子配列を特殊な酵素で切断して品種改良するものだ。外部から遺伝子を挿入する「遺伝子組み換え」と異なり、その動植物がもともと持つ遺伝子を書き換える手法だ。肉厚のマダイ、血圧を下げる成分を多く含むトマトなどがすでに開発されている。
厚生労働省は、ゲノム編集技術を使った食品について、安全性審査を不要とし、任意の届け出制とする新制度を10月から始めた。これに合わせるかたちで、消費者庁もその食品表示を法律で義務化しないことを決めた。ともに「通常の品種改良と区別がつかない」というのが理由だ。
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