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2021年の投資戦略「割安株の後に成長株を狙う」

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上昇する株価 (Bloomberg)
上昇する株価 (Bloomberg)

 21年の日本株を予想するにあたり、重要な要素の一つが米国経済であり、それにリンクする世界経済の動向である。米国経済の世界への波及効果は大きく、今なお日本経済を左右する。

 そこで、まず米国および世界経済の動向を確認しよう。結論を急げば、21年は米国を中心に世界経済は、新型コロナウイルスによる景気後退を経て拡大期に入ったようだ。

堅調な米国経済

 図1は、米国のGDP(国内総生産)と日米の株価の動向を示している。景気拡大期ごとのS&P500と日経平均株価の上昇率を見てほしい。いったん景気後退が終わると、3〜10年間の景気拡大となり、3〜5倍の株高が続くパターンが確認できる。景気循環の視点から今回も同様な展開が予想される。

 コロナショックへの対応として追加の景気対策に加え、米国の双子(財政と経常収支)の赤字や実質金利差を背景とするドル安も商品高や新興国通貨高などを通して新興国景気を中心に世界景気を押し上げそうだ。また、今回の景気サイクルで他国に先行している中国景気が、金融緩和政策の継続で好転している点も、遅行する米国など他国にとっては追い風になろう。

 一方、コロナ感染の動向には、留意する必要があるものの、ワクチンが一定の効果を発揮し、事態が好転する可能性が高い。ワクチンのニュースが報道され始めた昨年11月以降、感染が拡大しても米国の長期金利は上昇している。つまり、マーケットは景気拡大を予想しているのだ。

 また、米国自体の状況を考えると、株高による家計純資産拡大が資産効果として、景気拡大に寄与すると予想される。企業の在庫率が低く、家計の貯蓄率が高いなど投資と消費の両輪が拡大する条件が…

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