飯田哲也・環境エネルギー政策研究所所長に聞く(2)
ロシアのウクライナ侵攻について、原発やエネルギー政策に詳しい環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長に聞くインタビューの2回目は、ロシアへの依存度が高い欧州の天然ガスをどうすべきか、さらにドイツの脱原発へ与える影響などが焦点となった。飯田さんは欧州の現状をどのように考え、どんな直言をするのだろうか。【聞き手は経済プレミア編集長・川口雅浩】
――欧州連合(EU)はロシア産の化石燃料への依存を段階的に解消することで合意しました。しかし、EUは天然ガスの4割超、原油の約3割、石炭の約5割をロシアからの輸入に頼っており、とりわけロシアに大きく依存するドイツやイタリアなど早期脱却に慎重な国もあります。
◆飯田哲也さん EUは2027年までにロシアの化石燃料依存から脱却し、22年内にロシアへの依存を3分2減らして3分の1とする計画を発表しました。
具体的には、天然ガスの調達先をロシア以外に求め、液化天然ガス(LNG)の輸入を増やすこと。あとはバイオメタン(家畜のふん尿などから取り出すガス)や再生可能エネルギーで作った水素を大量に増やすとしています。バイオメタンは増やせるかもしれませんが、再エネ由来の水素はそう簡単には増やせないと思います。
――EUはそんな短期間に代替の天然ガスが見つかるのでしょうか。
◆欧州の天然ガスの需要は、ざっと3分の1が電力、3分の1が産業用で、残る3分の1が暖房や給湯です。需要のピークは冬なので、今年末から年明けにかけての冬にどう備えるかが問題で、最大のヤマ場、チャレンジになっていくでしょう。
おそらくこの問題は翌年の冬も続きます。しかし…
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