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「認知症発症率が下がる」街、米フラミングハムで起きていること

大西睦子・内科医

 今年2月、世界で最も権威のある医学雑誌の一つ「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)」に、ボストン大学医学部(BUSM)のスドゥハ•セスハドゥリ教授らによる一編の論文が掲載されました。内容は、米国マサチューセッツ州にあるフラミングハムという街で、30年以上にわたる調査の結果 、認知症の発症率が減っているという報告です。認知症患者の増加は、日米をはじめ世界中で問題になっています。いったい、この街で何が起こったのでしょうか? 今回は、この論文の中身をご紹介しながら、認知症の予防について考えてみましょう。

参考URL:http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1504327

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内科医

おおにし・むつこ 内科医師、米国ボストン在住、医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部付属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。08年4月から13年12月末まで、ハーバード大学で、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度授与。現在、星槎グループ医療・教育未来創生研究所ボストン支部の研究員として、日米共同研究を進めている。著書に、「カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側」(ダイヤモンド社)、「『カロリーゼロ』はかえって太る!」(講談社+α新書)、「健康でいたければ『それ』は食べるな」(朝日新聞出版)。