経営とITをデザインして未来を描き
お客様の新たな価値を創出する

フューチャーアーキテクトは、ITを武器に戦略から実装までを担うコンサルティング企業です。
長年培ってきた知見と技術力を強みに最新テクノロジーを駆使して戦略的なシステムを構築し、
お客様のビジネス変革を実現してきました。この特集では、フューチャーアーキテクトが
お客様とともにさまざまな課題に挑んできた事例を全5回にわたって紹介します。

森田 俊平、磯田 美雪、乾 亮太、小松 高子 の写真
CASE STUDY01 SBIホールディングス株式会社

「運命的な出会い」が生んだ
新時代の地銀システム

地方銀行の先行きが不透明になる中、インターネット金融大手「SBIホールディングス(HD)」(東京都港区)は、複数の地方銀行(地銀)への出資などを通じて、地方創生を目指す「第4のメガバンク構想」を掲げた。その行く手に立ち塞がったのが、複雑化・硬直化し “レガシーシステム”と化した銀行の基幹システムだった。地銀のDX化を進める「次世代バンキングシステム」開発という前人未踏のプロジェクトに、ITコンサルティング大手「フューチャー」(東京都品川区)グループの主要事業会社「フューチャーアーキテクト」が立ち上がった。「運命的な出会い」から生まれたプロジェクトを追った。(文中敬称略)

森田 俊平の顔写真
森田 俊平
SBIホールディングス株式会社
  • SBIホールディングス株式会社
    専務取締役
  • SBI地銀ホールディングス株式会社
    代表取締役
  • SBI地方創生バンキングシステム株式会社
    代表取締役

1998年ソフトバンク株式会社(現 ソフトバンクグループ株式会社)入社後、経理部に所属。1999年SBIグループ発足に伴い転籍、子会社社長を経て、2009年SBIホールディングス株式会社取締役。2011年から2019年まで同社CFOを経て、専務取締役(現職)。2019年株式会社島根銀行 社外取締役就任を皮切りにSBIグループの第4のメガバンク構想に伴う資本業務提携を展開。2020年資本業務提携行の持ち株会社であるSBI地銀ホールディングス株式会社代表取締役となり、SBI新生銀行をコアとする広域地域プラットフォーマー化を推進中。

磯田 美雪の顔写真
磯田 美雪
SBI地方創生バンキングシステム株式会社
  • SBI地方創生バンキングシステム株式会社
    取締役

2020年SBIホールディングス株式会社入社。SBIHD地銀価値向上推進室を経て、2023年6月より現職。老舗ITベンダーでITシステムの営業、事業企画に20年以上従事し、直近10年は地銀向け勘定系共同化事業に参画。SBIグループの地方創生戦略に共感してSBIに転職。SBIが掲げる『地方創生のためには地銀が強くなること、地銀の業務を変えるための銀行システムをつくる』というグループ戦略実現のため、森田とともに次世代バンキング事業を立ち上げ、現在に至る。

乾 亮太の顔写真
乾 亮太
フューチャーアーキテクト株式会社
  • フューチャーアーキテクト株式会社
    取締役
  • 金融サービス担当

2007年にフューチャーアーキテクト(現フューチャー)入社後、主に金融機関における営業・融資領域のコンサルティング、およびシステム導入プロジェクトにてプロジェクトリーダーや技術責任者として経験と実績を積む。「金融業務の知見」×「技術力」×「マネジメント力」を武器に2018年、フューチャーアーキテクト執行役員としてFutureBANKの事業責任者に。2021年には金融部門を管掌する取締役に就任し、銀行、証券、保険、公共向けのビジネスを取りまとめ、業界動向を見定めながらお客様の未来価値の向上と地域金融機関を軸とした地域創生に努めている。

小松 高子の顔写真
小松 高子
フューチャーアーキテクト株式会社
  • フューチャーアーキテクト株式会社
    シニアパートナー
  • 金融サービス事業部

2019年、フューチャーに入社。前職のメガバンクではミッションクリティカルな勘定系システムの刷新を推進。その経験を活かし、地域金融機関向けに、最新のIT技術を駆使してゼロベースで構築した、シンプルでコンパクトな基幹システムを提供する大規模プロジェクトを牽引する。また提供した基幹システムの基盤をベースに、金融機関やそのお客様とともに「地域全体のDX化」と「地域創生」を実現する“世直し”にも精力的に取り組んでいる。現在は、次世代バンキングシステム構築プロジェクトの事業責任者として複数のプロジェクトを推進する。

「ベンダーロックイン」の打破

地銀は、地方の人口減少や地域経済の疲弊など厳しい環境変化にさらされている。さらに異次元緩和によって作り出された超低金利の長期化で、預金と融資の「利ざや」で稼ぐ銀行のビジネスモデルは根底から崩れ、経営悪化のための再編を迫られている。SBIHDは2019年、収益力強化を目的に、共同体で日本全国の地銀を運営支援する体制を構築しようという「第4のメガバンク構想」を打ち出し、島根銀行、福島銀行との資本業務提携などを発表した。

森田 俊平の写真

SBIHD専務で、地方銀行との連携を行うSBI地銀ホールディングスの代表も務める森田俊平は「地方はシャッター街に象徴されるように経済が衰退している。危機感から地方銀行は顧客の役に立つ業務にシフトして、地元経済に貢献したいと考えているが、何から手を付けていいのかわからない。そんな『手詰まり感』がある」と語る。

地銀にはビジネスモデルの転換が求められているが、ネックになっているのがシステムだった。銀行業務の中核をなす勘定系システムの開発は、一部の大手ITベンダーの寡占状態。古い技術で構成される「レガシーシステム」は、運用・入れ替えに膨大なコストがかかり、簡単に他社に乗り換えられない「ベンダーロックイン」という状態にあった。森田は「銀行を中心に地方経済を盛り上げようにも、銀行は20世紀から続く業務に忙殺されて前向きな仕事ができない。改革の本丸はシステムだと実感した」と振り返る。

その頃、フューチャーアーキテクトは、金融機関へのシステムのコンサルティング、融資業務を中心としたシステム導入のノウハウをもとにした戦略業務システム「FutureBANK」を、静岡銀行や千葉銀行など全国30行以上の金融機関に提供していた。その中で、銀行の基幹となる勘定系システムの改革の必要性を実感し、10年以上にわたって新たな勘定系システムの研究を続け知見をためていたという。取締役金融サービス担当の乾亮太は「ベンダーロックインにより業務改革が進まない状況に風穴を開けたい。既存のシステムを使い続けるのは、古いビルの基礎や配管をそのままに外観だけ補修するようなもの。今の技術だからこそできるシステムをゼロベースで作りたいと強く思っていた」と明かす。

乾 亮太の写真

「不退転」の決意で臨んだプロジェクト

ともに銀行のシステムの課題を感じていた両社が出会ったのは20年の秋のことだった。SBIHD社長の北尾吉孝に「これからの時代はクラウドを使うべき」と示され、クラウド大手のAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)に相談すると、「フューチャーアーキテクトが新しい勘定系システムの構想を持っていて、実装先を探している」と紹介された。森田は「目指す方向が一緒で驚いた。これはもう運命だと思った」と述懐する。

こうして地方銀行を抜本的に改革する「次世代バンキングシステム」開発プロジェクトがスタートした。プロジェクトは、地方創生に取り組みたいと老舗ベンダーから転身したSBI地方創生バンキングシステム取締役の磯田美雪と、メガバンク出身で地方銀行をレガシーシステムから解放する “世直し”を構想してきたフューチャーアーキテクトシニアパートナーの小松高子が中心となって進めることとなり、導入第1号はシステムの改修期限が迫っている福島銀行となった。SBIもフューチャーも福島銀行も、プロジェクトを絶対に成功させるという「不退転」の決意だった。

「次世代バンキングシステム」は、最新技術を導入した「ゼロベースの最適化」と「変化対応力」をコンセプトに、勘定系だけでなく、営業、情報系、インターネットバンキングなど銀行業務にまつわるさまざまなシステムを再編成し、シンプルで外部システムとの連携もしやすいシステムを目指して開発された。クラウドを使っているため運用コストが抑えられ、災害・障害に強い。顧客データ管理が一元化されることで、リアルタイムのデータを経営戦略に反映し、それをもとに迅速な新規事業の立ち上げや業務フローの変更が可能になる。API連携により、銀行のシステムを軸に取引先や顧客、地域全体のエコシステムを構築することも視野に入れている。

次世代バンキングシステム イメージ図

“銀行の常識”への挑戦

磯田がこだわったのは「コスト」だった。「業務改革だけでなくコストの束縛から地銀を解放するためのプロジェクトなので、いくら良いものでもお金がかかりすぎたら意味がない。従来のベンダーなら『希望通りにしますが○○円かかります』と持ってくる。フューチャーは『こうするとコストが上がってしまうからこのようにしましょう』と提案してくれた」と語る。乾は「我々はシステムを作って納めることを仕事にしているのではなく、あくまで課題を解決するという視点で貢献する会社。当然限られた予算の中で、やりたいことを最適な実現方法で提案する立場なので、方向性は合っているし、むしろ我々の付加価値を提供できているのではないか」と応える。

磯田 美雪の写真

森田、磯田、小松を中心に両社がタッグを組み、地銀のさまざまなニーズを聞き出しながらシステムによる経営改革、業務改善を検討していくという形で進められたが、ITによる銀行改革を目指す小松には“銀行の常識”が立ち塞がる。温めてきたさまざまな案は、当初銀行側から「銀行業務を理解していない非常識な提案」と猛反対された。

森田は「システムを切り替えるのは不安だし、これまでのやり方や価値観もある。はじめはお互いにストレスもあったと思うが、小松さんは諦めず一つ一つ粘り強く説明してくれた。ほかのメンバーも同じように熱心なので、段々と『何を聞いても答えが用意されている。フューチャーの人たちはちゃんと考えてくれている』と行員の見方が変わっていった」と振り返る。

こうして銀行の信頼を得て、行員側からシステム改善や省力化に向けた積極的な提言もあがるようになっていった。開発中にはマイナンバーとインボイス制度の導入による仕様変更という予想外の事態も生じたが、コンセプトでもある「変化に対応しやすいシステム構造」が奏功し、リリーススケジュールの変更は起きずコストも最小限に抑えられた。森田は「普通のベンダーなら絶対に稼働延伸なのに、フューチャーさんはいつの間にか対応を終えていた。その技術力の高さとスピード感に驚いた」と感心する。

小松 高子の写真

「地銀が変わる」瞬間に

さまざまな障害を乗り越えながらシステムの開発は進み、24年の本格稼働に向けて最終段階に入っている。さらに島根銀行でも25年に導入されることが決定した。森田は「銀行の変革のモデルケースにしていきたい」といい、磯田も「本格稼働したら新しく何ができるか、銀行もイメージを持てるようになったのは大きな成果。導入行を増やしてシナジーを拡大したい」と語る。小松は「地方銀行から始まる地域創生は、私の仕事人生のテーマ。あのタイミングで銀行が変わった、という歴史が変わる瞬間にしたい」といい、乾は「システムの全国展開を支援し、地域から日本を元気にしていきたい。システム導入を経てDXを体感した地銀の方々と、さらに新しいことに取り組んでいければ」と前を向く。

システムが稼働して銀行業務に余裕ができれば、プロフィットセンターへの人員の異動や、顧客のフォローや融資・事業相談など専門性を生かして地域経済に貢献する業務へのシフトが可能になる。さらにネット銀行のサービスを提供して、地方にとどまらない展開や人工知能(AI)と連携したビジネスマッチングなども可能だという。SBIHDとフューチャーアーキテクトは「次世代バンキングシステム」を通じて地銀の可能性を拡げ、日本の金融界を根底から改革すべく、歩みを進めていく。

投資構造変革の図
CLIENT INFORMATION
会社名
SBIホールディングス株式会社
代表取締役 会長 兼 社長(CEO)
北尾 吉孝
設立
1999年7月8日
従業員数
連結 18,756名 / 単体254名(2023年3月31日現在)
URL
https://www.sbigroup.co.jp/
会社名
フューチャーアーキテクト株式会社
代表取締役社長
谷口 友彦
設立
2016年4月1日
(フューチャー株式会社より
ITコンサルティング事業を継承)
従業員数
連結:2,948名 (2023年12月末現在)
URL
https://www.future.co.jp/architect/