
経営とITをデザインして未来を描き
お客様の新たな価値を創出する
フューチャーアーキテクトは、ITを武器に戦略から実装までを担うコンサルティング企業です。
長年培ってきた知見と技術力を強みに最新テクノロジーを駆使して戦略的なシステムを構築し、
お客様のビジネス変革を実現してきました。この特集では、フューチャーアーキテクトが
お客様とともにさまざまな課題に挑んできた事例を全5回にわたって紹介します。

急成長を支えた
“フューチャー流”パートナーシップの挑戦
靴販売チェーン最大手の「ABC-MART」を展開するエービーシー・マート(東京都渋谷区)。1990年の創業から30年余で、全国1000店舗を超える急成長を果たした。徹底した現場主義で、“コンサル嫌い”だったという同社の急拡大の陰に、ITコンサルティング大手「フューチャー」(東京都品川区)グループの主要事業会社「フューチャーアーキテクト」との出会いがあった。ITが経営戦略をけん引する“フューチャー流”パートナーシップの挑戦を追った。(文中敬省略)
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野口 実株式会社エービーシー・マート -
- 株式会社エービーシー・マート
代表取締役社長
中央大学経済学部卒業後、1988年シヤチハタ東京商事株式会社(現シヤチハタ株式会社)入社。1991年インターナショナル・トレーディング・コーポレーション(現株式会社エービーシー・マート)に転職し、現場での販売などを経て、2000年同社取締役営業本部長に就任。2002年には小売営業部長として、在庫管理を徹底するためのシステムづくりをけん引し、業務改革に大きく貢献する。2004年同社常務取締役営業本部、2007年より現職。
- 株式会社エービーシー・マート
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田中 裕之フューチャーアーキテクト株式会社 -
- フューチャーアーキテクト株式会社
パートナー ビジネスコンサルティンググループ
メーカー系SIerを経て、2003年フューチャーシステムコンサルティング(現フューチャー)入社。流通サービス業を中心に多くの大型プロジェクトにて、経営・業務・ITの三位一体改革のリーディングを実践。現場の最前線で構想策定から実装、経年拡張、効果創出に至るまで幅広く経験する。直近では事業会社に寄り添い、事業会社自身を強くするためのビジネスコンサルティングサービスをけん引している。構想策定、CIO/PMO支援、品質強化など指揮型/伴走型のコンサルティングを得意とする。
- フューチャーアーキテクト株式会社
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秋山 励フューチャーアーキテクト株式会社 -
- フューチャーアーキテクト株式会社
パートナー 流通・製造サービス事業部
2008年フューチャーアーキテクト(現フューチャー)入社。お客様の企業価値向上にコミットしたアーキテクチャデザイン、こだわりの機能設計と実装から効率的な業務設計に落とし込む保守運用までお客様のシステム利活用をリードする案件で実績を積む。M&AにおけるITデューデリジェンスやPMI、経営戦略と現場業務をつなぐIT戦略と投資テーマの策定などITに関わる企業のあらゆる悩みに対し、経営が主体的に判断できる選択肢の提供や現場が理解し即行動できる処方箋の提示を得意とする。
- フューチャーアーキテクト株式会社
「小さな本社で大きなビジネス」を実現するシステム
1985年、東京・早稲田に誕生した靴と衣料の輸入販売商社「国際貿易商事」がエービーシー・マートの前身だ。90年、東京・上野アメ横に小売店の「ABC-MART」4店舗を出店、以来徹底して現場(=店舗)を重んじる企業風土を醸成してきた。現在でも社長の野口実を含めた社員全員が週に1回は店舗に立つ。接客することで学んだ販売力を最大の強みとして成長を続けてきた。
「机上で考え、現場で検証」という現場主義をモットーとする野口は「“コンサル嫌い”だったので、ITだけでなく、経営など全ての分野で一切アドバイザリーを受けたことがなかった」と明かす。だが、社内システムのサーバーの入れ替えでコストに悩んだ時、「この分野は素人が解決するのは難しいから、一度プロの意見を聞いてみよう」と2005年、フューチャーアーキテクトにサーバー業者の選定を依頼したのが、両社の出会いだった。
2002年に100店舗を達成した同社は当時、年70~80店舗というとてつもないスピードで拡大していた。同時に、増築を重ねて膨らんだ営業システムをスリム化する必要に迫られ、今度はシステム開発業者の選定をフューチャーアーキテクトに依頼する。野口は「小さな本社で大きなビジネスをやりたい。それが僕たちのテーマ」と、本社スタッフは約200人を維持したまま1000店舗の運営ができる基幹システムの開発をオーダーしたのだ。
当時担当者として業者の選定を進めていたフューチャーアーキテクトパートナーの田中裕之は「エービーシー・マートの骨太な考え方や戦略に見合った提案がなく、投資対効果を考えると、『本当にこのシステムを推薦していいのだろうか』と悩んだ。選定する立場なのに“反則”かもしれないけど、業者選定の契約期間が終わった直後、『我々が手を挙げてもいいですか』と野口社長に相談した」と語る。野口も「パッケージソフトをベースにした提案ばかりで、使わない機能も多かった。ビジネスモデルに対応したオリジナルのシステムを作ってほしい」と開発に同意した。
田中は、社員と議論を重ねながら、近隣店舗を含めた在庫確認など経営戦略に直結する機能だけを盛り込んだスリムなシステムを構築した。一方で、「毎日使うシステムなので愛着を持ってもらいたい」と、メニュー画面に靴の画像を表示したり、売り上げのアイコンを「ABC-MART」のショッピング袋にしたりと、機能重視の業務システムとしては珍しくデザインにもこだわった。こうして2010年、「ABC MARTリテールシステム(ARS)」が完成した。
野口はARSの導入を「帳票が大幅に削減され、みなが同じ情報を見ながら話を進められるので、意思疎通がスムーズになった。直感的に使えるから教育期間も短くて済む。期待を上回る秀逸なシステムだった」と高く評価する。また「要件定義のミーティングで、あれもやりたい、これもやりたいと言ううちの社員に、いまやるべきでないことには『ダメ』とはっきり言ってくれた。一方で、うちのビジネスモデルに照らして、必要なら次の開発段階に回すことへ含みを持たせ、現場を嫌な気持ちにさせずに納得させてくれた」と振り返る。ARS構築をけん引した田中は「野口社長には『コンサルって高いな』と言われていたが、ARSが完成して、『高いなりの仕事をしてくれた。靴も、良い靴は高いからね』と評価していただいたのが本当にうれしかった」と笑顔を見せる。
逆転の発想から生まれた「デジタル基幹」構想
2015年頃からスマートフォンが急速に普及し、ECが台頭するなど世の中のデジタル環境が大きく変化していく中、両社は2017年にIT全般の戦略パートナー提携を結んだ。野口は「新しいデバイスやビジネスにチャレンジしなければならないが、不用意にやると遠回りになるし、コストもかかる。そこで『本格的にうちに入り込んでください』とお願いした」と言う。
提携後、野口は「1000の店舗にたくさんの在庫があるのに、EC用に在庫を持つのはバカらしい。店の在庫をECで売ることができないか」という素朴な疑問を持った。だが、議論を重ねる中で、「年間2600万人のお客様が来る店舗の方が売り上げは圧倒的に大きい。むしろ、ECに在庫を積んでおき、そこから店頭に足りない商品をお客様に届ける方が、店の在庫切れで売れなかったという機会損失を減らせるのではないか」という逆転の発想になった。
そこで、ECと店舗の営業をつなぐシステムが必要になり、「デジタル基幹システム」構想が生まれた。「デジタル基幹システム」は、店舗やECサイト、スマホアプリなどさまざまな販売チャネルからの受注データを基幹システムで一元管理し、ポイント、在庫、商品、顧客、受注・出荷といったデータをリアルタイムに連携させることが最大の特長だ。2018年のポイント管理システムを皮切りに、在庫管理システム、商品管理システム、顧客管理システムと段階的に進められ、2022年に最後の受注・出荷管理システムで完成した。
この大規模なシステム開発を担当した流通・製造サービス事業部パートナーの秋山励は「エービーシー・マートに入社したかのように業務を理解し、コンサル用語ではなくエービーシー・マートの社内用語で会話することを心がけた。新しい機能を検討する時も売り上げにつながるか、活用できるかをしっかり考えてくれるので、こちらも合理的かつシンプルにエービーシー・マートが必要としていることに対する提案ができた。IT戦略パートナーシップの役割分担をよく理解してくれているので本当に話を進めやすかった」と成功の理由を明かす。
数々のシステムの中でも特に現場の課題解決に直結したのが、2019年に開発したスタッフ用スマホアプリ「sNavi」だ。店頭でスタッフが他店舗やECを含めた在庫をわずか10秒で確認できるアプリで、接客を大事にする野口が店頭に立つ度に感じていた思いから生まれた。「お客様から『このサイズありますか』と聞かれて、バックヤードに在庫を確認しにいくと、その往復で5分くらいかかってしまう。お客様をお待たせしてしまうのはもちろん、スタッフも『ありませんでした』と伝えに戻ることで疲弊する。1クリックで物が買える時代に、せっかく店舗にきてくれたお客様の時間を無駄にしてはいけないという思いがあった」と語る。
また、2022年にはECでも店舗でもシームレスに買い物ができる「店頭デジタルフロントシステム」を構築した。その一環として、約20万点の商品情報を掲載したデジタルカタログを全店舗に導入。「ABC-MART Grand Stage 渋谷店」では、お客様がデジタルカタログをその場で見られる50インチのディスプレーを設置し、デジタル上で得られる詳細情報とスタッフの商品知識を掛け合わせ、よりよい顧客体験を生み出している。
「共に考えるパートナー」として
2005年にスタートした両社の関係は、さまざまなプロジェクトを経て、強固なパートナーとしての信頼関係へと深化していった。
秋山は「次々に生まれる新しい技術をエービーシー・マートに適用すべきかどうか、またはどう適用するかといった情報をコンパクトに伝え、経営判断のお手伝いをしていく。ITの目利きとして常に緊張感を持ちながら、我々の価値を提供していきたい」と意気込む。
田中は「アマゾンやグーグルのような外資系企業は古くから経営とITを両輪で捉えて、スピード感を持って事業を展開してきた。だが、日本では『餅は餅屋』というパートナーシップで乗り越えていくスタイルがあってもいいんじゃないか、ということをエービーシー・マートとの取り組みで学ばせてもらった」と語る。
野口は「フューチャーはシステムだけを優先せず、業務自体の改革を考えながら業務に寄り添ったシステムの実装をしてくれる唯一のコンサル。これからビジネス環境は日々変わっていく。次に我々が何をやっていくべきかを共に考え続けるパートナーでいてほしい」と期待を寄せた。
絵に描いた餅で終わることなく、事業を変革する「パートナー」として、エービーシー・マートの「IT改革」にコミットするフューチャーアーキテクト。今後も「経営とIT」の両輪をパートナーシップで推進し、さらなる挑戦を続けていくだろう。
- 会社名
- 株式会社エービーシー・マート
- 代表取締役社長
- 野口 実
- 設立
- 1985年6月6日
- 従業員数
- 9,118名(うちアルバイト4,837名)
- URL
- https://www.abc-mart.co.jp/
- 会社名
- フューチャーアーキテクト株式会社
- 代表取締役社長
- 谷口 友彦
- 設立
- 2016年4月1日
(フューチャー株式会社より
ITコンサルティング事業を継承) - 従業員数
- 連結:2,948名 (2023年12月末現在)
- URL
- https://www.future.co.jp/architect/
