スペシャルインタビュー
地域の健康をサポート
かかりつけ薬剤師・薬局
薬剤師・薬局の仕事は、処方箋の調剤や市販薬の販売にとどまらないことをご存じですか。地域医療の重要な拠点として法制度的にも位置づけられ、健康を総合的にサポートする役割を担っています。毎年10月17日~23日は「薬と健康の週間」。薬剤師や薬局をもっと身近な存在として活用し、自身の健康維持を考える機会にしてはいかがでしょうか。日本薬剤師会常務理事の豊見敦さん(47)にお話を聞きました。
日本薬剤師会 常務理事
豊見 敦さん
「かかりつけ薬剤師・薬局」に信頼感

厚生労働省が毎年実施する「薬と健康の週間」は、医薬品を正しく使う大切さ、そのために薬剤師が果たす役割を広く知ってもらい、国民の保健衛生の維持向上に寄与使用というものです。日本薬剤師会も、かかりつけ薬局・薬剤師を決めていただけるよう呼びかけてきました。

かかりつけ薬局があることで、処方される薬を1カ所の薬局で管理できるようになり、複数の医療機関から同じ薬が処方されるのを防いだり、飲み合わせを確認したりできます。そしてかかりつけ薬剤師からは薬だけでなく健康についてアドバイスを聞くことも可能です。

日本薬剤師会が2018年、20~79歳の男女1000人に聞いたところ、かかりつけ薬剤師を決めている人の93%が「かかりつけ薬剤師がいて良かった」と回答。市民の皆さんの間で、確かな信頼を得ていることが分かりました。

健康についても助言

薬剤師や薬局の活動を支え、質を高めるための法制度も近年、整備されてきました。

2016年に、かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能を拡充して、地域住民の健康を総合的に支援する拠点として「健康サポート薬局」が誕生しました。厚労省が定める一定の基準を満たし、都道府県知事へ届け出ることで健康サポート薬局であることが表示でき、開始から5年の2021年3月時点で、2515軒にまで増えています。

私自身も広島県で3代続く薬局を営んでいます。処方箋がなくても、ぜひ気楽に立ち寄り、相談していただきたいと思います。処方薬のことはもちろん、市販薬、新型コロナウイルス感染予防の消毒方法、食事療法や健康食品の取り入れ方など幅広い相談に対応し、健康を自身でケアする「セルフメディケーション」をお手伝いできます。

薬局によっては、アンチドーピング、禁煙支援などの専門的な知見をもつ薬剤師もいます。私たちの経験や専門知識が一人でも多くの方のお役にたてば、とてもうれしいですね。

高まる専門性

医薬品医療機器等法(薬機法)の改正に伴って、2021年8月から「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」の認定制度が新設され、健康サポート薬局に加えて、利用する薬局を選ぶ際の目安が増えました。

地域連携薬局は、服用している薬の情報について他の医療機関とも連携して対応していくため、入退院時や、在宅医療でも切れ目なく適切な調剤を受けることができる薬局です。

専門医療機関連携薬局は、専門性の高い薬物治療に医療機関と連携して対応していきます。疾患別に認定されることとなり、2021年8月からは「がん」についての認定が始まっています。この薬局が創設された背景には、超高齢社会の到来とともに、がん患者が増えてきたのが挙げられます。入院ではなく通院して治療するがん患者の方も増えているなか、薬局での対応がますます重要になっているのです。

いずれの薬局も、認定には「患者のプライバシーに配慮した相談窓口」「地域の医療機関や薬局との連携」「時間外や休日・夜間を含めた応需体制」などの諸要件が必要となります。都道府県が公表している「薬局機能情報提供制度」でそれぞれの認定を受けた薬局が公表されることになっていますので、かかりつけ薬局を決める際の一つの情報として確認してみるのも良いでしょう。

これらの要件を満たすための薬剤師への研修、施設整備など、取り組むべき課題は残されています。しかしながら、利用者の健康維持に寄与し、気軽に相談に応じていくという薬局自体の本質的な役割が変わるわけではありません。法改正によって、薬局がより専門性を備えて市民の期待に応えていく役割が明確にされたととらえています。

薬局の特徴が明確になることで、患者さんがその特徴に応じて薬局を選ぶ機会が提供できるのではないでしょうか。

これからの薬局の果たす役割

薬局は全国で約6万軒(2019年末時点)あり、地域住民に身近な存在です。だからこそ、病気やケガをした時にだけ立ち寄る場所にせず、普段から気軽に立ち寄って、薬剤師に声を掛けてみてください。

私たちも薬局側の環境づくりを進めながら、地域住民の方への情報発信も一層進めていかねばと思います。コロナ禍で薬局・薬剤師に求められる役割も増すなか、感染対策への貢献とともに、かかりつけ薬剤師・薬局の役割をさらに高め、ご期待にお応えしていきます。

コロナ感染の対策に貢献

日本国内の新型コロナウイルス感染者が累計で170万人を超え、変異株が次々と出現し、終息の見通しはまだまだ。そうした状況のなかでも、薬局は感染対策を徹底して行い、安心してご利用いただける環境を保っています。

薬剤師は、ワクチン接種の運営でもさまざまな役割を担っています。予診票の記入サポートがその1つで、基礎疾患や薬・食品アレルギーの有無、当日の体調などをどう回答していいか悩む人は多く、薬局や接種会場などで薬剤師が疑問に答えています。また薬液の調製や充てんなどの接種補助も行っています。

また、今まで医療機関で使用されてきた医療用の抗原検査キットが薬局でも販売されることとなり、薬局を拠点とした感染拡大防止の取り組みも期待されています。使用方法や判定後の対応など、使用する際の正しい知識を薬剤師がきちんと伝え、その後の適切な受診につなげる体制を地域毎で構築していくことに、薬局が役立っているといえます。

公益財団法人 日本薬剤師会