福本容子 毎日新聞 論説委員
約束を守ることはとても大事だと教わります。政治家が国民との間に結ぶ約束のことを、「公約」と呼びますが、当然、守らなくてはなりません。
自民党の中で一番のリーダーとなる人(総裁)を選ぶ選挙が今月行われることになりました。
安倍晋三総理大臣(首相)と自民党の元幹事長である石破茂さんが立候補しましたが、まず最初に、これまで首相をやってきた安倍さんが、与党のトップとして公約をちゃんと守れたかをチェックする必要があります。
自民党には、将来の有権者、つまり子どもたちとの公約もあります。
ところが、守れたか守れなかったかを判断しづらい、という問題を抱えているようです。
例えば、2013年の子どもとの約束には、「経済を元気にする」とあって、「みんなのくらしがもっともっと豊かになって、国民一人ひとりが豊かさを実感できるようになるまで」自民党はがんばります、とあります。
でもこれは、あまり良い約束とはいえません。豊かになることは良いのですが、いつまでに、どれくらい豊かになるのかがわからないのです。
「一人ひとりが豊かさを実感できるようになるまで」も困ります。それだと、みんなの実感が遅れるほど、「まだみんな実感してないからね」と自分たちが与党の座に長くいすわることを正しいことにしてしまうからです。
さらにこの約束では、「いくら税金を使って」という費用が書いてありません。政治家の約束で、もしかしたら一番大事な部分が抜けているのです。
だって、借金をしてまで今を豊かにする、ということになってしまえば、これからそれを払わされる未来の納税者、つまり今の子どもたちが困ることになるからです。
みなさんは、政治のリーダーにどんな約束をしてほしいですか?
経済部で、銀行や株式市場、エネルギー問題など担当。ロンドン特派員時代に取材したユーロの行方が一番の関心事。1962年熊本生まれ。スイカ大好き。