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言葉は、その響きとは裏腹の感情を宿すこともある。台風19号の被災地で、そんな言葉と出会った。
被災まもない10月17日、丸森町の避難所に身を寄せた遠藤きよ子さん(73)は嘆き続けた。自宅は土砂であふれ、冷蔵庫も家具も横倒し。泥の中から見つけた、10年前に先立った夫の写真を手に「こんな思いをするなら、押し寄せたあの水に入ってお父さんの所に行けば……」。涙枯れ、振り絞るような声だった。
家族4人で過ごした家の思い出を語る中、遠藤さんが口にしたのが「とがきかけられた」。聞けば「みな持っていかれた」「やられた」という意味合いだという。初耳で、何度聞き直してもマスク越しで「とがき」か「とがじ」かわからない。後でネット検索しても出てこず、翌朝再び訪ねノートに書いてもらった。
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