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不要不急の観光の未来 「多様性」でレジリエントな観光の再構築
2020年に観光がこのような状態に陥ることを前年には予測できなかった。多くの日本人が観光による地域経済の発展やにぎわいの実現に地域の将来を見ていた。各地の努力は観光立国に続く道だと、私たちの多くは信じて疑わなかった。17年ごろからは「オーバーツーリズム」と呼ばれる過剰な観光客の来訪の弊害が批判されていたが、それにもかかわらず多くの観光地では、増加する観光客に地域や観光の将来を懸けていた。
ところが、20年の新春に中国からの感染情報が日増しに激烈さを増してくると、私たちはただならぬ雲行きの変化を感じたのだった。始まりは中国であったが、新型コロナウイルスの感染は急激に世界に広がり、およそ感染と無縁の国はなくなっていった。特定の国の観光地ばかりではなく、観光客の出発地となっている各国も、ウイルスの感染から自国の国民を守ることで精一杯になっていた。観光客の消費に大きく依存してきた国であっ…
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