「24時間営業」や「定価販売」を柱にしたビジネスモデルで成長してきたコンビニエンスストアが転機を迎えている。
コンビニの加盟店契約は、店を24時間開けて、売り上げが増えるほど本部の収入が増える仕組みだが、人手不足の加盟店は継続が難しくなっている。
「定価販売」はスーパーのような安売り競争を避ける手段で、高い利益率を支えてきた。一方で、消費期限が近づいた弁当やおにぎりなどの大量廃棄につながり、「食品ロス」と批判されている。
セブン-イレブン・ジャパンなど本部各社は最近、対応策を打ち出したが、一部の直営店での時短営業の実験や、消費期限が迫った食品のポイント還元による値引き販売など小手先にとどまっている。
コンビニの出店が地域に行き渡らず、人手の確保も容易だった時代には、24時間営業を売り物に新規出店すれば、客は集まり、本部も加盟店オーナーも潤った。
しかし、人口減少時代に全国5万5000店以上がひしめく今では、加盟店はかつてのような集客も利益も期待できない。高騰する深夜のアルバイト代など24時間営業コストは加盟店にしわ寄せされている。
経済産業省の全国コンビニオーナーを対象にしたアンケートでは、約6割が人手不足を訴え、約4割はコンビニチェーン加盟に「満足していない」と答えている。
それでも、コンビニ本部各社の動きが鈍いのは、高収益を支えてきたビジネスモデルを崩したくないからだろう。24時間営業しない店が増えれば、本部の収入は減り、深夜や未明に商品を運び込んで来店客の多い朝に備える効率的な配送網も見直さざるを得なくなる。
各社は「24時間営業は顧客ニーズ」とも主張するが、働き方改革を受けて、消費者の意識も変わり、民間のアンケート調査では時短営業を支持する声が半数を超えている。
公共料金の支払いや宅配便受け付け、ATM(現金自動受払機)サービスなども提供するコンビニは生活インフラになったが、加盟店がもたなくなれば、その役割も果たせない。時代に合ったビジネスモデルへの転換が急がれる。