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古屋 美登里・評『スウェーデンの騎士』レオ・ぺルッツ/著

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身分を入れ替えて生きる 二人に課せられた運命

◆『スウェーデンの騎士』レオ・ぺルッツ/著 垂野創一郎/訳(国書刊行会/税抜き2400円)

 平安時代に書かれた『とりかへばや物語』は、持って生まれた性を取り替えて宮廷に仕えるきょうだいを描いていて、ことのほかスリリングなお話ですが、身分の取り替えで有名な作品といえば、マーク・トウェインの『王子と乞食』で、これは双子のようにそっくりな二人が入れ替わって異なる人生を体験する、老若男女を問わず愉(たの)しめるお話です。

 『スウェーデンの騎士』は紛れもなく後者に属する物語です。十八世紀のシレジアを舞台にした本書は、運命を司(つかさど)る天使や悪魔、盗賊団や龍騎兵隊などが登場して賑(にぎ)やかで、登場人物の独白の面白さもあってシェイクスピアの戯曲を読んでいるような気持ちにもなります。

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