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横里 隆・評『〈面白さ〉の研究』都留泰作・著

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物語世界に住まう感覚がビッグヒットにつながる

◆『〈面白さ〉の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのか』都留泰作・著(角川新書/税抜き800円)

誰もが一度くらいは小説を書きたいと思ったことがあるのではないだろうか。表現欲求とでもいうべきもの、それは人が言葉と文字を発明して以来、本能に近い欲求として抱き続けられてきた。ネット上のブログやツイッター、あまたある小説投稿サイトの活況なども、みなそこからきているのだろう。とくに小説投稿サイトの「E★エブリスタ」や「小説家になろう」からは数多くのヒット作が生まれ、それらは紙の本としてもベストセラーとなった。そのひとつ「王様ゲーム」は、小説・コミックのシリーズ累計で六百万部を超えるビッグヒットに育っている。多くの人が書きたい、表現したいという欲求を持ち、それを容易に実現できる時代、それが今なのだ。

 しかし、いざ書こうと思っても簡単に面白いものが書けるわけではない。読者としてはあれほどたくさんの作品を楽しんできたというのに、自分が書こうと思うと何を書いていいかわからない。「そもそも面白さって何なの?」という壁にぶつかったあなたに、ぜひ本書をオススメしたい。

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