登録No.06　はに丸タワー（茨城県水戸市）／登録No.07　木造駅舎（青森県つがる市）　写真・文＝半田カメラ

これは、大仏写真家である半田カメラが、一般的に知名度は低いが素晴らしい！という国内の異空間スポットを、勝手に日本ワタシ遺産に登録、紹介するという、とても個人的で偏った企画です。

大いなる郷土愛　愛すべき可愛すぎる建造物

皆さんご存じでしょうか。昨今、ちまたではひそかに「古墳ブーム」なるものが起こっており、古墳女子と呼ばれる女性たちが「前方後円墳の形がキュート」などと萌（も）えに萌えていることを。

残念ながら、私は古墳にはあまり萌えません。上から見ないとそのキュートな形とやらも判別つきかねます。ただ古墳と言えば「埴輪（はにわ）」が並んでいるものです。埴輪はカワイイと思うんです。特にそれが大きかったりしたらもう！　それは巨大なモノ好きな私の琴線をくすぐること、間違いありません。

そんな大きな埴輪なんてあるの？とお思いでしょう。これがあるんです。高さ１７．３メートルの巨大な埴輪が。

水戸ＩＣより車で約１０分の場所にある「くれふしの里古墳公園」は、修復された前方後円墳、円墳など、合わせて１６基の古墳で構成された、古墳群であり家族で楽しめる公園です。

そんな数ある歴史的古墳群を差し置き、公園のシンボルとして堂々たる姿でそびえ立っているモニュメント、それが「はに丸タワー」です。

両手を腰に当て「えっへん」とでも言っているかのようなイカしたポージング！　そしてなんとも可愛らしいその表情！　ガンガン放たれる癒やし系オーラに思わずのけ反ります。日本タワー界最強の癒やし系と言っていいでしょう。

タワーですからもちろん、ちゃんと上に上れるようになっています。横から見るとそのキュートな表側とは裏腹に、ロボットの内部構造を垣間見るかのような無機質な階段が。

最上階である頭の上からは、ただ単に景色を楽しむというだけでなく、「前方後円墳を上から見られる」という、機能的な演出もされています。（写真では確認しづらいので前方後円墳部分を白点線にしています）

ここでもうひとつ、埴輪と関連して「土偶」のこともお話ししたいと思います。土偶と埴輪は混同されがちですが、縄文時代の土製品は土偶、弥生・古墳時代の土でできた焼き物を埴輪、と区別されます。

実は、土偶をモチーフにした巨大な建築物というのも青森県にあるのです。つがる市木造房松にあるＪＲ東日本のれっきとした駅、木造駅（きづくりえき）。道の先に見えてきたその姿が、ただものではない存在感を放っているのは、もう誰の目にも明らかです。

駅舎に寄りかかるというか、へばりつくというか、のめり込むというか。とにかく、駅の正面の壁に１７メートルの巨大な土偶が！　くしくも、はに丸タワーとほぼ同じサイズであり、インパクトもそれに勝るとも劣りません。こちらもまた別の可愛らしさを持った驚異の存在感に、ただただ圧倒されます。

なぜに土偶なのかと言うと、地元の亀ケ岡遺跡から発掘された遮光器土偶がモチーフで、「シャコちゃん」と呼ばれて親しまれているとのこと。

以前は電車が駅に着くと目が光る「いらっしゃいビーム」という、実に画期的な電車到着合図があったそうですが、残念ながら現在は行われていないそうです。次回訪れる際には「いらっしゃいビーム」で迎えられたい！と切望しています。ぜひ検討してください。

今回は「町おこし」として地元の自慢を巨大化してしまったという、大いなる郷土愛を感じる、愛すべき、可愛すぎる建造物をご紹介しました。まだまだ皆さんの知らない癒やし系が日本には潜んでいます。今後も更なる発掘を進めていきます。

半田カメラ

雑誌や広告などの撮影が本業の女性カメラマン。趣味で日本中を旅するうち異空間的風景にハマり、巨大な仏像に夢中に。とうとう大仏写真家として開眼。牛久大仏絶景写真集「牛久大仏はそこにいる。」（写真・著：半田カメラ）が牛久大仏の胎内売店、仲見世で発売中！

Website「恋する巨大仏」

http://handa-camera.wix.com/kyodaibutsu-in-love

Blog「気になったら とりあえず行ってみるブログ」

http://ameblo.jp/handa-camera/