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サンデー毎日発

トップ大学が求める「力」とは何か 「東大」推薦「京大」特色入試結果

2018年入試速報

「東大」推薦「京大」特色 合格者出身高校一覧+難関8国立大「推薦・AO」入試結果

 東大の推薦入試、京大の特色入試の合格者が発表された。ともに“定員”割れだが、能力や意欲を基に妥協なき選抜をした結果だ。一般入試で優秀な学生を獲得できる両校がなぜ、コストのかかる選抜を試みるのか、探ってみた。

     3度目となる東大推薦入試の合格者数は「100人程度」の募集人員に対して69人で、初回からの定員割れが続く。出願条件として科学オリンピックや論文コンテストの入賞などが例示され、志願者自体が多くないためだ。

     それでも、出願校の裾野は広がっているという。2月7日の会見で推薦入試委員長の佐藤健二教授は「今年の総出願校155校中、新規は65校。3年間で321校から出願があり、今回で全都道府県からの出願を達成した」と話した。

     東大が発表した合格者の出身高校地域を見ると、東京が23.2%、東京以外の関東が13%。同地域からの合格者が5割を占める一般入試と比べると率は低い。さらに、一般入試合格者の女子比率が2割を切る中、推薦入試では42%と高いことからも、裾野の広がりを感じる。合格校の構成が異なるのは、推薦枠が1校で男女1人ずつであるため、開成や灘といった実績校から大量の合格者が出ないことに加え、入試日程の変化も影響している。駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一さんは言う。

     「難関大の後期日程が縮小し、実質的に前期一発勝負になり、地方の受験生や女子を中心に安全志向が強まっています。それでも一般入試の前に行われる推薦ならチャレンジできるので、合格者が増えているのでしょう。早慶が受け皿になる首都圏の受験生は、こうした推薦のメリットが小さいため、合格者が少ないのだと思います」

     本誌と『週刊朝日』、大学通信による共同調査で判明した合格者の出身校を見ると、武蔵・都立や西京、宮崎西など、中高一貫校が7割近くを占めている。3年連続で合格者を出した学校は、早稲田、渋谷教育学園渋谷、西大和学園など8校あり、そのうち6校が一貫校だ(2月9日正午までの判明分)。

     「一貫教育の余裕を生かして教科学習以外の取り組みに力を入れる学校が多くあります。良い学校生活を過ごした生徒はさまざまなことに興味・関心を持つので、東大の推薦基準をクリアできるのでしょう。そうした生徒は入学後も伸びるものです」(駿台の石原さん)

     そんな一人、本郷から医学部医学科に合格した藤村優さんに話を聞いた。

     「科学オリンピック入賞など輝かしい経歴の受験生が並みいる中で合格できたのは、与えられた課題をこなすだけでなく、自らモデルを構築し、他者と協力しながら研究を進められる自主性をプレゼンできたからだと思います。先行き不透明な世界で新しいものを生み出すには、異なる分野とのコラボが求められます。医学以外の知識を重視した新たな研究者像を示せたことが評価されたようです」

     もちろん中高一貫校以外からも合格者が出ている。教育学部に合格した生徒が通う土浦日本大の学年主任・高岡克次教諭はこう話す。

     「入学時は薬学部志望で、東大理2を目指していました。2年次に所属していた時事問題研究会の活動で訪れた長野県の『満蒙開拓平和記念館』で残留日本人孤児の問題を知ったことから平和教育に興味を持ち、教育学部志望に変わりました。継続してきたボランティアやフィールドワークの成果が評価されたのだと思います」

    難関大も「待ち」から「打って出る」時代へ

     東大の推薦入試導入と同じく、京大は2016年度入試(同年春入学)で推薦やAOなどで選抜する特色入試を始めた。推薦枠の縛りがない上、総合人間や農など学校長の推薦が要らない学力型AOで募集する学部(学科)が多いこともあり、135人の募集に対して志願者は547人。今回は全学部(学科)が導入したことも影響し、前年の志願者を173人上回った。東大同様に定員割れだが、合格者は100人を超えた(いずれも法学部後期を除いた集計)。

     「安全志向から一般入試では大阪大を考える受験生も、京大の特色入試なら出願できるという面があります」(駿台の石原さん)

     京大の特色入試への力の入れようは、初年度から告知ポスターに山極壽一(やまぎわじゅいち)総長自ら登場していることが象徴する。今回のポスターでは総長が「今年も意欲買います!」と受験生に語りかけた。では、実際にどのような“意欲”が評価されたのか。教育学部に合格者を出した白陵の進路指導部長の小紫一貴教諭に聞いた。

     「ドイツのインターナショナルスクール留学で、さまざまな国の高校生と過ごすことで広がった見聞を教育学に生かしたいと考える生徒でした。そうした意欲が伝わったのだと思います」

     黙っていても一般入試でトップエリートを獲得できる東大と京大が、手間ひまをかけて“能力や意欲”を評価する入試を実施するのはなぜか。東大の入試担当理事・福田裕穂副学長はこう話す。

     「入学時に学部が決まり、希望学部に進学するためのエネルギーが不要なこともあり、飛び抜けた成績の学生や、1年次から研究室に入ったり、さまざまなプログラムに積極的に取り組む学生がいます。そうした学生が核となって他の学生を巻き込み、日本を支える多くの人材が生まれることを期待しています」

     日本を背負い、世界で活躍できる人材養成を目指すのは、京大も同じだろう。トップ大学が評価する能力に裏打ちされた意欲が、先行き不透明な世界を照らすことを期待したい。【大学通信・井沢秀】

    *週刊「サンデー毎日」2018年2月25日号より転載。難関国立大(北海道大、東北大、名古屋大、大阪大、九州大、一橋大、東京工業大、神戸大)の推薦・AO入試の高校別合格者数は実際の誌面で確認してください。

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