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平成の事件ジャーナリズム史

元社会部長の小川一が個人的体験を交えながら「平成の事件ジャーナリズム史」を振り返ります。

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(13)神戸・須磨の連続児童殺傷事件、大津いじめ自殺事件、川崎・中1生徒殺人事件--さらされる実名と顔写真

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被害者の少年の遺体に添えられていた「犯行声明」を伝える紙面
被害者の少年の遺体に添えられていた「犯行声明」を伝える紙面

 1997年5月、「日本列島を震撼(しんかん)させる」という表現が決して月並みでも過剰でもない衝撃の事件が起きました。神戸市須磨区で小学6年の男児が殺害され、切断された男児の頭部が中学校の校門に置かれたのです。しかも、頭部は刃物で残忍に傷つけられたうえ、口には「酒鬼薔薇聖斗」を名乗る人物の犯行声明文がはさまれていました。「さあゲームの始まりです 愚鈍な警察諸君 ボクを止めてみたまえ ボクは殺しが愉快でたまらない 人の死が見たくて見たくてしょうがない 汚い野菜共には死の制裁を 積年の大怨に流血の裁きを SHOOLL KILL 学校殺死の酒鬼薔薇」と書かれた紙片でした。後に神戸新聞社にも犯行声明と挑戦状が届く異様さでした。

 6月になって逮捕されたのは、14歳の中学3年男子でした。付近では、小学6年男児殺人事件が起きる前の2月には小学6年の女児2人が殴打される事件があり、3月には小学4年の女児が頭部を殴られて死亡し、さらに小学3年の女児が腹部を刺され2週間のけがをする事件がそれぞれ起きていました。これらすべての事件について、逮捕された少年は容疑を認めました。1人の中学生による連続殺人・殺人未遂事件は犯罪史上初めてとさ…

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