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奈良町かいわいにある国の名勝・旧大乗院庭園(奈良市、13000平方メートル)。興福寺の門跡寺院(公家の子弟が入る寺院)・大乗院の庭園で、室町幕府の将軍・足利義政も訪れ、近世には「南都随一の名園」とうたわれた。大乗院の権力や財力の象徴ともいえる存在の現地を訪ねた。【大森顕浩】
晩秋の青空の下、広大な池「東大池」(4800平方メートル)の水面に木々が映り、水鳥が楽しげに泳ぐ。「冬になると100羽はやってきます」。庭園に併設する「名勝大乗院庭園文化館」の植田光政館長が話してくれた。汀(みぎわ)(水際の線)はゆるやかで、岸辺を玉石で敷き詰める。池の中にある島は、南側に江戸時代に新たに造成した「三ツ島」と「天神島」、北側には室町時代までにはあった「中島」を配置する。中島に架かる赤い反橋は庭園のトレードマーク。池の周囲はマツとモミジを中心に、春のハクモクレン、夏のサルスベリが植えられている。
池の南に立つと、正面に見えるのが、庭園に隣接した小高い丘に建つ老舗の奈良ホテル。瓦葺(かわらぶ)きの建物が借景だ。奈良ホテルの一帯もかつては大乗院の敷地だった。
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