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「事件は社会を映す鏡」と言われます。記者たちが現場を歩き、事件のささやきに耳を澄まします。

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事件はささやく 88歳母の遺体放置、53歳の引きこもり(その1) 「死を認めるのが怖かった」

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自宅近くの公園のベンチに座り、母親との思い出を語る男。落ちつかない様子で手はずっと足の下に入れたままだった=南茂芽育撮影
自宅近くの公園のベンチに座り、母親との思い出を語る男。落ちつかない様子で手はずっと足の下に入れたままだった=南茂芽育撮影

 「母の遺体にはウジがわいていました」――。2019年8月、母親(88)の遺体を10日間にわたって東京都板橋区の自宅アパートで放置したとして、同居していた53歳の無職の男が死体遺棄容疑で警視庁に逮捕された。高校卒業後、35年にわたって引きこもり状態の生活を続けたすえの事件だった。思いを聞こうと記者が男を訪ねると、頼り続けた母親がいない現実に向き合えないでいる姿があった。【南茂芽育】

 男が最初に取材に応じたのは19年10月、東京拘置所に勾留されている時だった。眼鏡をかけた色白の顔に、どこかあどけない雰囲気が残る。裁判終了後の翌月にも自宅近くで取材に応じ、事件とそれまでの半生を語り始めた。

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