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給付金業務の委託 不透明さに疑念が深まる

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 新型コロナウイルス対策で中小事業者に現金を支給する「持続化給付金」を巡り、業務の民間委託のあり方が不透明だとの批判が強まっている。

 経済産業省が一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」に約769億円で発注したが、ほとんどの業務は電通に約749億円で「丸投げ」された。

 さらに、グループ会社を通して人材派遣のパソナなどにも割り振られている。

 なぜ、こうした枠組みにしたのか。経産省は、過去の補助金交付事務で、振り込みの名義人だった電通に問い合わせが集中したことを理由に挙げる。しかし、振り込みの名義を変えれば済む話だ。

 経産省と協議会との契約では、業務をまるごと再委託することを禁じている。仕事もせずに利益を稼ぐだけの業者が介在すれば、コストが膨らんでしまうからだ。

 協議会からの再委託額は全体の97%に上る。不自然で、契約に違反しかねない受注形態だ。

 そもそも協議会は、電通などが役員を出して設立された。従業員は21人しかいない。業務全体を管理できるのか疑問だ。

 業務が再委託されれば、お金の使い道を監視しにくくなる。

 経産省のルールでは、「下請け」の経費処理などは、「元請け」が確認することになっている。下請けが増えるほど、経産省が直接チェックするのは難しくなる。

 コロナ対策を巡っては、旅行や外食を支援する「Go Toキャンペーン事業」でも、業務委託への疑問の声が上がっている。

 受注者に払う委託費を、最大で事業費の2割近い3095億円に上ると見積もっているからだ。

 政府の事業を受託するノウハウを持つ企業や団体は限られる。なれ合いの関係になり、どんぶり勘定が通るようなら問題だ。

 持続化給付金に対しては、申請から給付までに時間がかかり、中小企業から悲鳴が上がった。

 業務を民間に委託するのは、迅速に効率よく進めるためだ。業務運営の体制が適切だったのか、検証は不可欠だ。

 中小企業の危機に乗じて、大企業が過大な利益を上げる仕組みのようにも映る。政府は、疑念にしっかりと答える義務がある。

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