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1996年9月に上智大4年の小林順子さん(当時21歳)が東京都葛飾区の自宅で殺害、放火された事件で、警視庁が保管していた遺品の一部が7月、24年ぶりに遺族に返却された。小林さんが大学時代に書いた論文は原稿用紙の端が焼け焦げ、事件の凄惨(せいさん)さを物語っている。
小林さんは大学で外国語学部英語学科に在籍し、ジャーナリストを志していた。論文は、当時問題になっていた日本の貿易黒字に対する米国からの批判について考察した8枚の手書き。「妥協せず互いが努力をして歩み寄ることで、問題解決が促進されるのではないか」と双方の文化を理解する大切さを説いていた。
小林さんは毎年の夏休み、得意だった英語を小中学生に教えるボランティアに参加していた。遺品には、英語であいさつをする時のフレーズなどを覚えるために自分たちで作った教材のほか、活動を終えた際に友人から送られた寄せ書きも含まれていた。「皆を引っ張る力がある」「明るくすてきな笑顔に救われる」とのメッセージが、部分的にすすけた厚紙にびっしりと書かれていた。消火作業の水で水性ペンのインクがにじんだのか、読め…
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