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『在宅ひとり死のススメ』=永江朗

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 若いときは、老後のことなんか考えなかった。自分は中年になる前に死ぬだろうと思っていた。ところが予想は外れ、まだ生きている。50歳を過ぎたころから、漠然と老後が気になってきた。子供もいないし、「きずな」とか「ふれあい」が大嫌いなので、「孤独死、上等!」と思っている。

 上野千鶴子『在宅ひとり死のススメ』(文春新書・880円)は、『おひとりさまの老後』(法研・2007年)に始まる「おひとりさま」シリーズの総仕上げ的な本。「孤独死」を「在宅ひとり死」と言いかえたところが画期的だ。孤独死は悲惨で哀れ、というイメージを払拭(ふっしょく)する。読んでいて「ひとりで死ぬ方がハッピー!」という気分になってくる。

 「老後はおひとりさまが一番幸せ」というデータが出てくる。大阪府下で開業する医師が調査した結果だ。独居高齢者のほうが、同居高齢者よりも生活満足度が高いというのである。意外なようだが、少し考えると納得できる。複数の人間がひとつ屋根の下に住めば不平不満も生じるし、我慢を強いられることもある。

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