退陣間際の菅氏、なぜ訪米? 新首相誕生まで待てない各国の事情

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クアッドの首脳会議に参加するバイデン米大統領(左から2人目)ら=ワシントンのホワイトハウスで2021年9月24日、AP
クアッドの首脳会議に参加するバイデン米大統領(左から2人目)ら=ワシントンのホワイトハウスで2021年9月24日、AP

 菅義偉首相は24日、米ワシントンで開かれた日米豪印(通称クアッド)首脳会議に出席した。国内では菅首相の後任を決める自民党総裁選(29日投開票)のさなかの異例の訪米だ。まもなく退陣する菅首相がなぜ、米国を訪問したのか。外務省関係者は「各国とも日本の新しい首相が選ばれるまで待てない事情があった」と打ち明ける。

 日本の首相が外国訪問の直後に退任した例は過去にもある。2007年9月には第1次政権時代の安倍晋三首相(当時)がオーストラリアでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席したが、その直後に退任した。10年6月には鳩山由紀夫首相(同)が、5月下旬に韓国での日中韓首脳会談に出席後、首相を退いた。

 ただ、両氏とも、国内情勢や健康上の理由から、帰国後に退陣を余儀なくされたケースだ。退陣表明後に訪米を決めた菅首相とは事情が異なる。

 今回のクアッド首脳会議開催に最もこだわったのは米国だ。外務省関係者は「菅首相の任期を十分理解したうえで、『ぜひ来てほしい』と言ってきた」と打ち明ける。

 米国は菅首相の訪米に先立つ21日、東京電力福島第1原発事故直後から続けてきた日本産食品の輸入規制を撤廃すると発表した。4月の日米首脳会談では合意できなかった規制撤廃に米国が応じる形で、米側の訪米要請を受け入れた菅首相への「感謝」を示したと言える。政権幹部は「米国も粋なことをする」と語った。

 米国がクアッド首脳会議の開催にこだわるのは、…

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