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濃い味、うす味、街のあじ。

飲食店を通じて「街のあじ」を紹介します。

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濃い味、うす味、街のあじ。

創業86年、「昭和の居酒屋」今も

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スタンドアサヒ
スタンドアサヒ

 まわりには酒場好きが多いのだが、「大阪の居酒屋ならこの店」と口をそろえるのが、JR阪和線・南田辺駅前にある「スタンドアサヒ」(大阪市東住吉区)だ。

 地元のみならず、出張などで大阪に来る東京からのファンをわざわざ天王寺から阪和線に乗せて二つ目の駅・南田辺へ運ぶ人気ぶりは、メディアでもおなじみだ。

 徒歩圏内の大阪市阿倍野区在住で長年通うフードライターは「家族連れ客の子どもがトンカツを食べてたり、近所のおばあさん客が前で焼いてもらったウナギをご飯にのせて夕食にしてたり。そういうところがこの店の地元でのすごさなんです」と熱く語る。それを話すと「親子3代のお客も多いです。子どもやった子が、子どもを連れてくるんです」とお店の中野久美子さん。

 昭和10(1935)年創業。長い歴史は、お店に立つ中野誠一さん、久美子さん兄妹の祖父・眞二さんが大日本麦酒(今のアサヒビールなど)を定年退職して開店したことにさかのぼる。太平洋戦争中は家屋疎開の計画もあって、中之島に移ったが、戦後すぐに戻った。南田辺はこのあたりきっての飲食店でにぎわう町で、大阪市域の南端・杉本町にあった大阪商大(現大阪市立大)の教員や学生もよく飲みに来ていた。

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