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医療、ケア、福祉、社会資本、宗教などさまざまな観点から地域包括ケアを考える公開シンポジウム「全市民を対象とした地域包括ケアにおける公私連携」が2月25日、上智大学で開かれた。各分野の専門家や包括ケアの現場で働く人など約80人が来場し、議論を交わした。
シンポジウムは、科学技術振興機構社会技術研究開発センター(RISTEX)の「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間構築」研究開発プロジェクトの一つ、「都市における援助希求の多様性に対応する公私連携ケアモデルの研究開発(「RISTEX川崎プロジェクト」)と、同大グリーフケア研究所の共催で行われた。
まず、岡本仁宏・関西学院大学法学部教授が政治学の観点から国内外の事例を紹介し、「地域包括ケアシステムとは地域住民が参画するシステムを構築することであり、市民自治の観点が重要だ」と述べた。
続いて、世界宗教者平和会議日本委員会の篠原祥哲氏が登壇し、東日本大震災の被災地で宗教者たちが果たした役割について報告した。福島県におけるコミュニティーづくり支援などで複数の宗派や教団が連携して行政と協力した例などを具体的に挙げ、地域住民の自発的な取り組みを促すシステムを構築する必要性を訴えた。
神山裕美・大正大学人間学部教授は福祉の観点から、日本では1990年代以降、福祉関連法の改正に伴いコミュニティー・ソーシャルワーク(コミュニティーに焦点をあてた社会福祉活動)が普及してきたことを紹介。広島、新潟、岩手などにおける地域包括ケアの先例に触れた。
さらにメンタルヘルスの観点から、精神科医の熊倉陽介氏がホームレス支援や虐待対策について、臨床での取り組み事例を報告した。
東京大学大学院人文社会系研究科の祐成保志准教授も、「RISTEX川崎プロジェクト」での調査結果をもとに発表。民生委員や地域住民と、行政との連携における問題点などについて報告した。
来場者からは「地域で新たに支援団体を設立する場合、重要なことは何か」といった質問や意見が寄せられ、登壇者と活発な議論が交わされた。