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(講談社選書メチエ・1782円)
よく東京の私鉄は寺社に向かって走るといわれる。京成電車は成田山へ、京王は高尾山へ、小田急は箱根権現へ、京急は川崎大師へ。
偶然かと思われるが決してそうではない。近代の鉄道はそもそも寺社への参詣を目的にして作られた、と著者はいう。鉄道の歴史を考えるうえで重要な視点で面白い。鉄道は寺社と共に発達してきた。
著者は日本各地の鉄道の草創期の歴史を丁寧に調べ、多くの鉄道が近隣の寺社へ参詣者を運ぶために開通していったことを明らかにしてゆく。例えば京成電車の前身は、成田山新勝寺と密接に結びついて開業した。鉄道開設に当たっては、寺と鉄道会社が一体となった。いわば、聖と俗の利害が一致した。
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