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詩歌の森へ

文芸ジャーナリスト・酒井佐忠さんの「詩」に関するコラム。

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詩の現在と未来へ=酒井佐忠

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 今回も野村喜和夫の新著を紹介する。というのも先週のこの欄で「危機を生きる言葉」の見出しで野村の訳著の『ルネ・シャール詩集-評伝を添えて』(河出書房新社)を取り上げたが、その後さらに新著の『危機を生きる言葉-2010年代現代詩クロニクル』(思潮社)が刊行されたからだ。野村は力作の新詩集『薄明のサウダージ』(書肆山田)も出しており旺盛な執筆活動が続いている。

 『危機を生きる言葉』は、2010年代の現代詩の現況を克明に描いたもの。新聞の時評などを中心にした詩論集だ。この年代はもちろん、東日本大震災や原発事故を契機に「詩はどうあるべきか」が問われたとき。「アウシュヴィッツの後で詩を書くことは野蛮」とアドルノは言ったが、それでもなお詩の言葉を紡ぎ出した和合亮一らの存在に注目。さらに高橋睦郎や時里二郎、杉本真維子、中本道代、北爪満喜、川口晴美らの活躍に目を向…

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