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「わかってねえよ。どうせトイレの場所も教えてやってねえんだろうが」
「あ、そっか」
「もっと想像力つかえよ監督。北朝鮮からきてんのにおまえんちの間どりなんざ知ってるわけねえだろうが。生理現象どうすんだよ。ションベン我慢しすぎて病気になっちまったらおめえが病院つれてけよ」
「そういやそうだわ、ぜんぜん駄目ですねおれ」
われながらこれは、気が利かないどころのにぶさではないぞとあきれかえる。こんなに鈍感では、外を出歩くうちにいつしかうっかり立ち入り禁止エリアに迷いこんでしまっていてもおかしくはない。緊張感がたりないようだと自覚した横口健二は、なにも持っていないほうの右手でおのれの頰をぺしぺしとたたいた。
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