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本郷 和人・評『未完の西郷隆盛』先崎彰容・著

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西郷をどう見ていたか 明治をどう理解したか

◆『未完の西郷隆盛 日本人はなぜ論じ続けるのか』先崎彰容・著(新潮選書/税別1300円)

 大河ドラマが佳境を迎えている。今回は新刊ではないが、特別に本書を取り上げる。この本は明治維新後の西郷隆盛を、時代を代表する知識人たちがどう捉えていたかを分析する。歴史社会学の成果であり、政治思想史の好著といえる。

 維新の大功労者たる西郷は明治6年の征韓論争で盟友の大久保利通と袂(たもと)を分かち、郷里・鹿児島に帰った。明治10年、薩摩士族は反乱を起こし、西郷はその首魁(しゅかい)となった。明治政府の「新しい軍隊」は薩摩兵を打ち破り、西郷は戦死するわけだが、征韓論からこの西南戦争に至るまで、西郷は何を批判し何を考えていたのか。彼の生の声は残されていないので、その読み解きは後世の私たちの責務となる。

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