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白河 桃子・評『美智子さまという奇跡』『もしすべてのことに意味があるなら』

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覚悟をもって生きる女性に背中を押された思いがする

◆『美智子さまという奇跡』矢部万紀子・著(幻冬舎新書/税別820円)

◆『もしすべてのことに意味があるなら がんがわたしに教えてくれたこと』鈴木美穂・著(ダイヤモンド社/税別1300円)

 平成ももうすぐ終わり。皇室関連の特集が盛んなので、私も皇室関連の思い出を一つ。3年前の園遊会で、美智子さまと直(じか)に言葉を交わすという僥倖(ぎょうこう)に恵まれた。政府の委員を務めていた縁で、園遊会の招待状を頂いたのだ。「直答許さじ」と聞いていたのだが、ほかの人は意外にも天皇、皇后両陛下に話しかけている。美智子さまが目の前を通り過ぎるときに思い切って、「私も雙葉(ふたば)出身です」と話しかけた。蚊の鳴くような声しか出なかった。それでも美智子さまはパッと振り向いて「そうなの。今日はゆっくりしていらしてね」と微笑(ほほえ)んでくださった。一瞬で魅了された。

 忘れがたい思い出である。下世話な言い方をすれば神対応のお手本で、このような気遣いを今まで何千万人もの人にしていらした途方もない道のりを思った。

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