「女・男の気持ち」(2020年6月25日~7月1日、東京・大阪・西部3本社版計19本)から選んだ「今週の気持ち」は、東京本社版6月26日掲載の投稿です。
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<今週の気持ち>
今が一番 福島県いわき市・鈴木由美子さん(保育士・37歳)
「明日の書写で使う小筆が割れて使えない」
夕飯の支度を慌ただしくしている最中に言われた次男からの一言に、疲れがドッと出てきた。「えーっ。もう、なんで? なんで今なの? 土日に買いに行けたよね?」。イライラしながらも急いで近くのスーパーへ行った。
買い物中もイライラが収まらず、スーパーでもプンプンしながら歩いていた。そのとき「イヤー! 抱っこー!」と幼い子どもの声が聞こえた。声のほうを見ると、制服を着た仕事帰りのお母さんと2歳くらいの男の子がいた。
保育園で頑張ってきたのね。やっとお母さんに会えたのね。甘えたいよね。抱っこしてほしいよね。それから、今が一番かわいいときだね。そう思ったのと同時に、息子たちが幼いころにも他人から「かわいいね。今が一番かわいいときだね」とよく話しかけられたのを思い出した。
当時は「今が一番大変だよ」と心の中で何度もつぶやいていた。今思うと、あの言葉は本当だったんだ。あのころは、とってもかわいかったなあ。そして当時、2歳差の男の子2人の育児に余裕がなくて、正直大変だと思ってばかりいたことを反省した。
スーパーを出るころには、イライラプンプンした気持ちはすっかり穏やかになり、とってもかわいかった息子たちを思い出しながら家路を急いだ。
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<担当記者より>
現在は小学6年生と4年生、2人の息子さんがいて保育士として働く鈴木さん。仕事柄、日々乳幼児と接しており「2歳ごろはおしゃべりを始めたばかりで、しぐさもかわいい」。ただ、自身のお子さんが幼児のころは「本当に忙しくて、かわいいと思う余裕なんてなかった。今は親の言葉に言い返したりして、口が達者になって……」と話します。
投稿にあった「学校に持っていくものを前日の夜に突然知らされる」ことは、まさに「育児あるある」。担当記者も書道の半紙や牛乳(空きパックが必要なため)を買いに走った経験があります。知らない人に「今が一番いいときよねー」と声をかけられ、心の中で「今が一番大変だよ」と返してしまうことも「あるある」かもしれません。
乳幼児のころを振り返り「あのころはよかった……」と懐かしがっているばかりではもったいない。育児ができる期間は、人生の中で限られています。せっかくですから小学生や中学生、高校生になっても「今が一番」と思いながら楽しみませんか。そんな思いを込めて、今回のタイトルをつけました。
先輩方にはぜひ、「子どもが中学生や高校生、大学生になっても面白いよ」「今が結構楽しいよ」などと励ましていただきたいものです。コメントもお待ちしています。コメントはこちらからどうぞ。