「とにかく買い物へ行くのに助かったよ。なんせここは坂が多くてね」。館山市南部の富崎地区。漁村でもあるこの地区に20年以上住む天野美江さん(85)は、8~9月に地区内を巡回した低速電気自動車(EV)「グリーンスローモビリティ」(グリスロ)を利用した。
グリスロは公道を時速20キロ未満で走り、環境負荷も少ない。国土交通省は地域が抱える交通などの課題解決を実現する「低速の小さな移動サービス」と位置づける。
天野さんは約2年前、夫を事故で亡くして一人暮らし。車の免許を取得したことはなく、長く自転車が交通手段だった。「今は腰も悪いので、自転車は乗れない」。直線距離で約560メートル離れたスーパーマーケットまで週に1度、手押し車に体を預けながら、途中で休み休み約30分かけて歩く。「行くまで一苦労だよ」と笑う。
この記事は有料記事です。
残り1009文字(全文1363文字)