北朝鮮工作船事件

特殊な「専用船」 競艇用ボートの原理で高速化(2011年12月掲載)

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  • 模型を使った水槽実験。この模型を用いた実験で割り出された抵抗値やエンジンの出力から速力と航続距離が計算された。その結果、25ノットを超えると抵抗が少なくなり、高速で航行できるようになっている反面、縦方向の安定性が悪く、波浪に弱いことも明らかになった。=海上保安大学校国際海洋政策研究所提供
    模型を使った水槽実験。この模型を用いた実験で割り出された抵抗値やエンジンの出力から速力と航続距離が計算された。その結果、25ノットを超えると抵抗が少なくなり、高速で航行できるようになっている反面、縦方向の安定性が悪く、波浪に弱いことも明らかになった。=海上保安大学校国際海洋政策研究所提供
  • =海上保安大学校国際海洋政策研究所提供
    =海上保安大学校国際海洋政策研究所提供
  • =海上保安大学校国際海洋政策研究所提供
    =海上保安大学校国際海洋政策研究所提供
  • 展示中の工作船=2011年12月、米田堅持撮影
    展示中の工作船=2011年12月、米田堅持撮影
  • 操舵は、油圧や電動ではなく人力でワイヤーを通して直接操作する原始的なもの。海水が直接かかる甲板上にワイヤーが走っているのは一見すると荒っぽく見えるが、トラブルが発生しても簡単な工具で走りながらでも修理することが可能なメンテナンス性を重視した設計思想だと考えられる。
    操舵は、油圧や電動ではなく人力でワイヤーを通して直接操作する原始的なもの。海水が直接かかる甲板上にワイヤーが走っているのは一見すると荒っぽく見えるが、トラブルが発生しても簡単な工具で走りながらでも修理することが可能なメンテナンス性を重視した設計思想だと考えられる。
  • 船体は各所に燃料タンクが配置されており、容量はおよそ24トン。航続距離は33ノット(時速役61キロ)の速力で1200マイル(約3700キロ)で、北朝鮮のチョンジンと新潟を余裕で往復できる量だ。追跡当時の7ノット(約13キロ)であれば3000マイル(5556キロ)も航行できる。
    船体は各所に燃料タンクが配置されており、容量はおよそ24トン。航続距離は33ノット(時速役61キロ)の速力で1200マイル(約3700キロ)で、北朝鮮のチョンジンと新潟を余裕で往復できる量だ。追跡当時の7ノット(約13キロ)であれば3000マイル(5556キロ)も航行できる。
  • ナイフのように鋭いV字型の船首部。安定性を重視して平たい船底を持つ漁船などとは大きく形状が異なっていることが分かる。
    ナイフのように鋭いV字型の船首部。安定性を重視して平たい船底を持つ漁船などとは大きく形状が異なっていることが分かる。
  • おおむね60センチの間隔でならぶ右舷側の放水口。
    おおむね60センチの間隔でならぶ右舷側の放水口。
  • 右舷側の放水口の開口部は角が丸くきれいな形をしている。
    右舷側の放水口の開口部は角が丸くきれいな形をしている。
  • 左舷側の放水口は後から板をはりつけてから穴を開けたような形跡が随所にみられる。間隔も右舷と異なり不ぞろいだ。引き揚げ後に第十二松神丸の写真と工作船を比較した結果、右舷側放水口の位置がほぼ一致。同一船舶と判断材料にもなった。
    左舷側の放水口は後から板をはりつけてから穴を開けたような形跡が随所にみられる。間隔も右舷と異なり不ぞろいだ。引き揚げ後に第十二松神丸の写真と工作船を比較した結果、右舷側放水口の位置がほぼ一致。同一船舶と判断材料にもなった。
  • 左舷側の放水口は板を張り付けてから放水口を開けたため、角に丸みがなく、加工に粗さがが目立ち、板を張り付けた際の溶接の跡もみえる。右舷と左舷で放水口の間隔や形、穴の開け方が異なる理由ははっきりしていない。
    左舷側の放水口は板を張り付けてから放水口を開けたため、角に丸みがなく、加工に粗さがが目立ち、板を張り付けた際の溶接の跡もみえる。右舷と左舷で放水口の間隔や形、穴の開け方が異なる理由ははっきりしていない。
  • 後部の観音扉を開けた状態で展示されている工作船。子船を出し入れするときが、もっとも船体が不安定な状態になるので、荒天では子船の出し入れは出来なかったとみられる。第2機関室と子船区画の隔壁が爆発で破壊されていたが、隔壁が破れて機関室に水が入ると瞬時に沈没してしまう構造になっていた。展示当初はワイヤーによる補強はなかった。
    後部の観音扉を開けた状態で展示されている工作船。子船を出し入れするときが、もっとも船体が不安定な状態になるので、荒天では子船の出し入れは出来なかったとみられる。第2機関室と子船区画の隔壁が爆発で破壊されていたが、隔壁が破れて機関室に水が入ると瞬時に沈没してしまう構造になっていた。展示当初はワイヤーによる補強はなかった。
  • 工作船であることが外部からは、わからないように観音扉の蝶番は内側に取り付けられている。扉中央付近に縦に走っているパイプは、トイレとして使用されていたという。
    工作船であることが外部からは、わからないように観音扉の蝶番は内側に取り付けられている。扉中央付近に縦に走っているパイプは、トイレとして使用されていたという。
  • 工作船内部に格納されていた子船。50ノット(約93キロ)もの高速で2時間以上も走ることができる。
    工作船内部に格納されていた子船。50ノット(約93キロ)もの高速で2時間以上も走ることができる。
  •  継ぎ足したような跡が残る子船の後部。3基のガソリンエンジンは900馬力もの出力を持つ。エンジンを強力なものに換装した際に後部を継ぎ足した可能性が高いという。
     継ぎ足したような跡が残る子船の後部。3基のガソリンエンジンは900馬力もの出力を持つ。エンジンを強力なものに換装した際に後部を継ぎ足した可能性が高いという。
  •  船尾に見える空気を取り入れるためのパイプ。高速航行をするときに、水面を滑走する船体に上部から船底に伸びたパイプから空気が入ることで抵抗を軽減して高速で走れるようにしている。船尾部分が微妙に成分と強度が異なることから、子船の“増築”に合わせて後から継ぎ足されたと考えられるという。
    船尾に見える空気を取り入れるためのパイプ。高速航行をするときに、水面を滑走する船体に上部から船底に伸びたパイプから空気が入ることで抵抗を軽減して高速で走れるようにしている。船尾部分が微妙に成分と強度が異なることから、子船の“増築”に合わせて後から継ぎ足されたと考えられるという。
  •  2つの舵と4本のスクリューが見える。最大4800馬力を発生するロシア製のエンジンが4本のスクリューを駆動する。スクリューが刻印された日付のうち新しい日付の2基は1998年9月13日で、第十二松神丸が写真撮影された1998年8月7日以降にエンジンとスクリューを換装した可能性が高い。船底に段差が見えるが、これも競艇のボートのようにステップを設けることで抵抗を減らし、高速で走りやすくするためのものだ。
    2つの舵と4本のスクリューが見える。最大4800馬力を発生するロシア製のエンジンが4本のスクリューを駆動する。スクリューが刻印された日付のうち新しい日付の2基は1998年9月13日で、第十二松神丸が写真撮影された1998年8月7日以降にエンジンとスクリューを換装した可能性が高い。船底に段差が見えるが、これも競艇のボートのようにステップを設けることで抵抗を減らし、高速で走りやすくするためのものだ。
  • 模型を使った水槽実験。この模型を用いた実験で割り出された抵抗値やエンジンの出力から速力と航続距離が計算された。その結果、25ノットを超えると抵抗が少なくなり、高速で航行できるようになっている反面、縦方向の安定性が悪く、波浪に弱いことも明らかになった。=海上保安大学校国際海洋政策研究所提供
  • =海上保安大学校国際海洋政策研究所提供
  • =海上保安大学校国際海洋政策研究所提供
  • 展示中の工作船=2011年12月、米田堅持撮影
  • 操舵は、油圧や電動ではなく人力でワイヤーを通して直接操作する原始的なもの。海水が直接かかる甲板上にワイヤーが走っているのは一見すると荒っぽく見えるが、トラブルが発生しても簡単な工具で走りながらでも修理することが可能なメンテナンス性を重視した設計思想だと考えられる。
  • 船体は各所に燃料タンクが配置されており、容量はおよそ24トン。航続距離は33ノット(時速役61キロ)の速力で1200マイル(約3700キロ)で、北朝鮮のチョンジンと新潟を余裕で往復できる量だ。追跡当時の7ノット(約13キロ)であれば3000マイル(5556キロ)も航行できる。
  • ナイフのように鋭いV字型の船首部。安定性を重視して平たい船底を持つ漁船などとは大きく形状が異なっていることが分かる。
  • おおむね60センチの間隔でならぶ右舷側の放水口。
  • 右舷側の放水口の開口部は角が丸くきれいな形をしている。
  • 左舷側の放水口は後から板をはりつけてから穴を開けたような形跡が随所にみられる。間隔も右舷と異なり不ぞろいだ。引き揚げ後に第十二松神丸の写真と工作船を比較した結果、右舷側放水口の位置がほぼ一致。同一船舶と判断材料にもなった。
  • 左舷側の放水口は板を張り付けてから放水口を開けたため、角に丸みがなく、加工に粗さがが目立ち、板を張り付けた際の溶接の跡もみえる。右舷と左舷で放水口の間隔や形、穴の開け方が異なる理由ははっきりしていない。
  • 後部の観音扉を開けた状態で展示されている工作船。子船を出し入れするときが、もっとも船体が不安定な状態になるので、荒天では子船の出し入れは出来なかったとみられる。第2機関室と子船区画の隔壁が爆発で破壊されていたが、隔壁が破れて機関室に水が入ると瞬時に沈没してしまう構造になっていた。展示当初はワイヤーによる補強はなかった。
  • 工作船であることが外部からは、わからないように観音扉の蝶番は内側に取り付けられている。扉中央付近に縦に走っているパイプは、トイレとして使用されていたという。
  • 工作船内部に格納されていた子船。50ノット(約93キロ)もの高速で2時間以上も走ることができる。
  •  継ぎ足したような跡が残る子船の後部。3基のガソリンエンジンは900馬力もの出力を持つ。エンジンを強力なものに換装した際に後部を継ぎ足した可能性が高いという。
  •  船尾に見える空気を取り入れるためのパイプ。高速航行をするときに、水面を滑走する船体に上部から船底に伸びたパイプから空気が入ることで抵抗を軽減して高速で走れるようにしている。船尾部分が微妙に成分と強度が異なることから、子船の“増築”に合わせて後から継ぎ足されたと考えられるという。
  •  2つの舵と4本のスクリューが見える。最大4800馬力を発生するロシア製のエンジンが4本のスクリューを駆動する。スクリューが刻印された日付のうち新しい日付の2基は1998年9月13日で、第十二松神丸が写真撮影された1998年8月7日以降にエンジンとスクリューを換装した可能性が高い。船底に段差が見えるが、これも競艇のボートのようにステップを設けることで抵抗を減らし、高速で走りやすくするためのものだ。

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