宇宙飛行士を被ばくからどう守る? 強い放射線 月探査へ影響は

米国が進める「アルテミス計画」での月面探査のイメージ=米航空宇宙局(NASA)提供
米国が進める「アルテミス計画」での月面探査のイメージ=米航空宇宙局(NASA)提供

 米国を中心に、月や火星の有人探査を目指す動きが活発になっている。一方で、課題になってくるのは宇宙放射線による被ばくのリスクだ。今後、長期間の有人探査が実現した場合に、宇宙飛行士をどのように宇宙放射線被ばくから守ったらよいのだろうか。

 太陽などから降り注ぐ強いエネルギーを持った宇宙放射線は、地球上へは大気や地磁気に遮られてほとんど届かない。だが、そうした遮蔽(しゃへい)効果のない宇宙空間では、地上に比べて被ばく量が大きくなる。人間は地上にいると自然界から年間で約2ミリシーベルト被ばくするが、高度400キロを巡る国際宇宙ステーション(ISS)での被ばく量は年間300ミリシーベルト程度とされている。地磁気の影響を受けない月面では、さらに被ばく量は増える。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、ISSに滞在する宇宙飛行士の健康を守るために、生涯の積算被ばく量の上限を500~1000ミリシーベルトと独自に定めている。一方、放射線は一時的な被ばく量が100ミリシーベルトを超えると健康リスクに影響があると言われる。このため日本では国内法で、職業で放射線を取り扱う人は年間50ミリシーベルト以下かつ5年で100ミリシーベルト以下と設定されている。

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