韓国で賛否割れる元徴用工問題解決案 保革それぞれの視点

元徴用工問題への対応について意見を聞くため、韓国の朴振外相(中央奥)が開いた賢人会議=2022年12月6日(韓国外務省提供)
元徴用工問題への対応について意見を聞くため、韓国の朴振外相(中央奥)が開いた賢人会議=2022年12月6日(韓国外務省提供)

 韓国外務省は1月12日、日韓関係の最大の懸案である元徴用工訴訟の解決案を示した。韓国最高裁(大法院)が被告の日本企業に命じた元徴用工らへの賠償金支払いを韓国側が肩代わりする内容だ。保守系の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権はこの案で原告を説得する構えだが、韓国世論の賛否は割れている。解決案は本当に現実味があるのか、その課題は? 保革それぞれの立場から聞いた。

尹政権の求心力あるうちに「呼応」を

 ■朴喆熙・ソウル大国際学研究所長

 徴用工問題を巡る尹錫悦政権の姿勢は、政府介入による解決に消極的だった文在寅(ムン・ジェイン)前政権とは180度異なる。根底にあるのは、日韓関係を改善することが双方の利益につながるという認識だ。

 文前政権は、元徴用工の支援団体などからの反発を恐れた。日本の植民地支配に起因する問題になぜ対応しないといけないのか、という考えもあった。日韓双方が相手に責任を押しつけ合い、関係が急激に悪化する原因となった。これに対し尹政権は、徴用工問題がこれ以上大きくなる前に解決することが不可欠と考えている。

 韓国政府が公開討論会で明らかにした解決案は、元徴用工を支援している韓国内の財団が被告の日本企業に代わって賠償金相当額を原告に支払う「第三者弁済」という方式だ。1965年の日韓請求権協定に基づき、日本から支払われた経済協力資金の恩恵を受けた韓国企業から寄付を募る枠組みを想定している。協定の精神を今後も守る立場を明確にしたと言える。

 ただ、これだけでは解決にはならない。…

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