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私が思う日本

東京に駐在する外国メディアの特派員らが見た日本の姿を伝えます。

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私が思う日本

海外と国内からみる「二つの日本」と五輪

東京五輪のメイン会場・国立競技場=2021年7月19日午前10時1分、本社ヘリから
東京五輪のメイン会場・国立競技場=2021年7月19日午前10時1分、本社ヘリから

 東京に駐在する外国メディア特派員の目に、私たちの社会はどう映っているのだろうか。韓国、フランス、米国、バングラデシュ、シンガポールの個性豊かな記者たちがつづるコラム「私が思う日本」。第15回はブルームバーグ通信(米国)のリサ・ドゥ東京特派員が東京オリンピックを通じて見えてきた日本の姿について取り上げる。

 外国メディアの特派員として、私は常に「二つの日本」の存在を強く意識してきた。

 一つは、実際の生活体験を通じて知ることができる「日本」。そしてもう一つは、ニュースや娯楽、ソーシャルメディアによって形作られた、海外在住者の心に存在する「日本」だ。海外の人の多くは、彼らが触れる文化を通して、日本は風変わりで、不思議で、ハイテクな国だと思っている。このイメージは誤解を招くことがある。だが他の固定観念と同じように、この日本のイメージも事実からくるものであり、日本の外国人に対する宣伝の影響も受けている。

 「二つの日本」は通常、別々に存在する。日本国内や海外から流れるニュースに関心を持つジャーナリストや学術研究者、専門家たちは、その違いや矛盾を楽しんでいる。

 東京オリンピックの話題に入ろう。前例のない1年の延期を経て実施される大会は、多くの会場が無観客となった。日本政府と国際オリンピック委員会(IOC)は、新型コロナウイルイスのパンデミック(世界的大流行)が猛威を振るう中、この世界最大のスポーツイベントの成功を目指している。世界中の目が日本に注がれている。

 既に数千人の海外のジャーナリストが、オリンピックと新型コロナが織りなすこの奇妙でシュールなイベントを報じるため来日した。この世界の舞台で「二つの日本」は融合する動きを見せてい…

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