異次元緩和「目立った効果なし」 元副総裁が見る黒田・日銀の問題点
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2008年から日銀副総裁を務めた西村清彦・政策研究大学院大特別教授は、異次元の金融緩和は日本経済に大きなプラス効果をもたらさなかったと言います。金融政策を深く知る経済のスペシャリストが斬る異次元緩和の問題点とは。【聞き手・杉山雄飛】
異次元緩和「壮大な実験」
――異次元の金融緩和をどう評価していますか。
◆ある種の壮大な実験だったと言えるでしょう。ブレずに腹をくくって金融緩和をやれるところまでやったという点では意味があったのかもしれませんが、結果的に日本経済に大きなプラスはもたらしませんでした。金融緩和とはつまるところ「将来の需要の先取り」です。「景気を浮揚させるため」という名目があるからこそ、金利を下げることが正当化されるわけです。しかし、それによる景気浮揚効果は短期間。10年近く続けても目立った効果が出ないのであれば、意味がありません。効果が切れた時点で別の道を探るべきでした。
――西村さんが副総裁を務めた白川方明・前総裁時代も日本経済は低迷しており、金融緩和を実施してきました。
◆白川体制から黒田東彦総裁体制へと移行しましたが、金融政策の本質は変わっていません。どちらも主体となっているのは、市場に流すおカネの量を増やす「量的緩和」という手法です。黒田総裁が打ち出した異次元緩和は、その「量」の部分を大幅に増やしたものと言えます。
白川体制の金融緩和「力が失われた」
――白川総裁時代の金融緩和は「小出し」と批判を浴びることも少なくありませんでした。
◆実は私も安倍晋三元首相がアベノミクスを打ち出す直前の12年10月、「(白川体制下の)包括緩和は限界だ」とするメモを個人的に作成し、日銀内のごく一部に説明を始めていました。…
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