集団介助やめました 介護士離職ゼロを達成した最新テクノロジー

車いすのままカプセル型の機器に入り、体を洗える入浴支援装置=東京都世田谷区の「そんぽの家 成城南」で2024年2月13日、宇多川はるか撮影
車いすのままカプセル型の機器に入り、体を洗える入浴支援装置=東京都世田谷区の「そんぽの家 成城南」で2024年2月13日、宇多川はるか撮影

 集団介助やめました――。東京都内のある有料老人ホームは、入居者の食事や排せつの介助を決められた時間帯に一律に提供しない異例の決断を下した。一律での作業は介護施設でよく見かける光景だが、提供者目線から入居者目線に転換した。このような対応を可能にしたのは介護ロボットなどテクノロジーの導入だった。

 4月以降順次改定される診療報酬と介護報酬のポイントについて3回にわたって連載します。
 第1回 テクノロジー導入で介護施設の配置基準見直し
 第2回 マイナ保険証、利用促進のワナ(3月20日ごろ公開予定)
 第3回 どうなる医療介護連携(3月27日ごろ公開予定)

 介護士は、食事や入浴、排せつ、移動の介助に加え、体の向きを変える体位変換など、介護が必要な高齢者に日常生活を送るためのさまざまなサービスを提供する。施設の場合は24時間態勢で見守る重労働の割に賃金は高くなく、恒常的に人手不足だ。

 一方で、少子高齢化で高齢者は2040年まで増え続ける。厚生労働省は40年に介護士が69万人不足すると試算しており、少ない人数で質を担保する介護作業の「生産性向上」は課題になっている。

 集団介助をやめた有料老人ホームは、全国で介護事業を手がける民間大手「SOMPOケア」が運営する「そんぽの家 成城南」(東京都世田谷区、入居者約100人)。22年8月から最新の機器を導入した。

 具体的には、自動体位変換器や再加熱カート、入浴支援装置など9種類の機器だ。自動体位変換器はベッドのマットレスに代わる機器で…

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