孤独死、困窮サインあるのに 自治体の「配慮」が情報共有阻む

母娘が餓死しているのが見つかったマンションの一室。3カ月たっても、表札が掲げられていた=大阪市港区で2021年3月3日午後3時40分、安元久美子撮影
母娘が餓死しているのが見つかったマンションの一室。3カ月たっても、表札が掲げられていた=大阪市港区で2021年3月3日午後3時40分、安元久美子撮影

 料金滞納で水道などのライフラインが止まったまま孤独死する事例が相次ぐ中、全国20の政令指定都市のうち、事業者と滞納情報を共有しているのは京都と岡山の2市にとどまることが、毎日新聞の調査で判明した。料金滞納は「困窮のサイン」とされ、放置すれば命の危険に直結しかねない。国は自治体と事業者に情報共有を求めてきたが、個人情報が壁となっている実態が浮かび上がった。

 大阪市港区のマンションで2020年12月、母親(当時68歳)と娘(同42歳)とみられる2人が餓死しているのが見つかった事例を受け、毎日新聞は20政令市に水道、電気、ガスの事業者との連携についてアンケートし、全市から回答を得た。

電気・ガス事業者との共有なく

 大阪や名古屋、福岡など15市は「異臭がする」「新聞がたまっている」などの異変があれば通報するよう事業者と協定を結んでいる。一方、滞納者の情報を市の福祉部局と共有しているのは京都市と岡山市の水道局だけで、電気・ガス事業者と情報共有している政令市はなかった。

 京都市上下水道局は長期滞納で給水を止める場合…

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